10話:利益率向上作戦(202005-202012)
農家の人にとっても、農閑期の副業として喜ばれ、兼業農家の人のうちの高齢者、数人が仕事を辞めて近所の道の駅で働きだした。また、海津は売れ残った農産物を終了1時間前に全品を半額にして在庫を売りきった。更に農家で売り物にならない果物、野菜を引き取り、午前中は野菜、生ジュースにしたり、サラダとして食堂で出したりして午後2時以降にサービスパックとして、大入り包装で安く販売する様にした。今まで、捨てていた商品が売れるようになり、農家の人から喜ばれた。
2020年4月の役場の会議の開始1時間前に山田さんと町長さんから話があるという事で呼び出された。行ってみると、まず町長から道の駅の販売好調の件のお礼を言われ、ついては道の駅の責任者として駅長になった欲しいと言われた。毎日、最後まで仕事をしなくてもいい。だた、今後も斬新なアイディアで道の駅の発展、役場の利益向上、地元の人の労働の場の提供をして欲しいと言われた。その後の会議で町長から海津夫妻の道の駅長と副駅長の任命の件が全員に報告された。
次に7月からの学生アルバイトを役場で募集した件や近隣の町、村役場にアルバイト募集のポスターを張り、高校、短大、大学にも募集のポスターを送った。兼業農家の人が8人ほどパート職員から正職員になったとの報告があった。2020年5月の連休は道路の反対側に拡幅した駐車場が満車になるほどの盛況ぶりだった。食堂部門の売り上げが特にすごく、今年から売りだした、しそジュース、ウメジューズ、オレンジ、レモン、リンゴソーダなどのソーダ類、いわゆる、水ものが好調であった。
これらは、粉物と同じで、利益率が高いので食堂部門の利益率は全体の中でもダントツ。道の駅の利益率も以前に比べて数倍にもなっている。つまり、以前の様に農協の米、野菜、果物、漁協の魚の利益率は15%程度であり、販売経費を入れると利益率が小さく卸売の状態だった。
それが現在食堂部門の利益率は7割以上。単純に昨年の様に、農家、農協の製品を年間1000万円の売上げても利益率15%で150万円、1ケ月に12万5千円の利益では赤字だった。それが利益率の高い商品の比率が高くなり、最近のペースでいけば年は6000万円、月間500万円、利益率が6割として月間300万円。月10万が300万円と30倍になっているのだ。年間の利益が3600万円、好調を維持すれば利益だけで3000万円を超す超優良企業という事になるのだ。町役場で大喜びをするのは頷ける。
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