日本のうまい酒6(天狗舞)
新潟に転勤していたとき、石川県を旅行したときに
出会った、うまい酒を今回は紹介する。
その日本酒の名前は、天狗舞
天狗舞HP
http://www.tengumai.co.jp/index.html
1823創業。手取川支流に蔵があった頃、ある日、
近くの森から天狗が太鼓をたたく音が聞こえてきた、
と言う話から酒銘がついたそうです。
昭和52年、全国新酒鑑評会で初の金賞に輝いてから、
連続受賞を重ねていらっしゃいます。
天然乳酸による山廃仕込を全国に認知させ、
酒徒で知らぬ者のいないほどの実力蔵です。
天狗舞ができるまで、霊峰白山から湧き出る伏流水と加賀平野に
実った良米により、天狗舞の酒は、醸し育まれます。
また、吟醸用には、厳選された日本一の酒米、
兵庫県産の特A地区の山田錦が用いられます。
精米は丁寧にそして時間を掛けて行われます。
精米においても熟練した技能が必要とされます。
天狗舞では、蔵の想う最良の精米を行いたいため、
入荷した玄米全量を自社精米機にて精米しております。
磨かれたお米は、数週間の時を経て精米されます。
洗米においては、秒単位の管理が必要とされます。
そして、米は昔ながらの和釜と甑により蒸されます。
この一連の流れは、米への愛情を込めて行われます。
麹とは米に麹菌を繁殖させたものです。
麹に生えている麹菌が造り出す酵素がお米を糖化します。
天狗舞の麹は、全て手造り。微生物の麹菌と対話をするかのように、
麹造りは行われます。
もろみの発酵のもととなる優良酵母を育てたものを
酒母によって、もろみでは健全な発酵が行われます。
天狗舞では、多くの酒が山廃酒母にて醸されています。
蒸し米と麹と水に、酒母を加えて糖化と発酵を行わせる物ををもろみといいます。もろみは三段階に分けて仕込まれます。
約一ヶ月間、もろみの声を聞き、状貌を見つめながら育みます。
そして、もろみは徐々に、酒へと姿を変えていきます。
酒をしぼることにより、もろみは清酒と酒粕に分離されます。
数か月に渡って精米から長い道のりをたどって来た酒米は、
こうして一滴づつ酒に生まれ変わります。
できあがった酒は、持てる力の全てを出し尽くした蔵人に
見送られ、自然と時間の流れに身を委ねます。
酒は静寂と蔵内で熟成し、じっと待ちます。酒はやがて
ゆっくりとまろみを帯び、馥郁として香りをまといます。
眠りから覚めたとき、ようやく「天狗舞」となります。
清冽な水、ふくよかな米。天地の恵みを受けた酒造りがはじまる。
実りの季節、秋風が穂を揺らし、酒蔵のまわりは黄金色の
さざ波と穂の打ち鳴らす音色におおわれます。
酒は水と米から醸されるもの。蔵人は刈り取ったばかりの
米を蔵に迎え入れます。
米は毎年毎年その性質が異なるため、注意深く
その年の米の姿を見極めます。
自然から与えられた米と水を迎え入れるとき、蔵人は祈ります。
旨い酒ができますように、無事に造りができますように、と。
そして、今年も酒を造れる喜びを神に感謝します。
この“祈り”が酒造りの第一歩となります。
米は生きている。その一粒一粒に、惜しみない愛情を注ぎ込む。
麹とは、米に麹菌を繁殖させたものです。
麹に生えている麹菌が作り出す酵素がお米を糖化します。
天狗舞の麹は、全て手造り。微生物の麹菌と対話を
するかのように、麹造りは行われます。
酒質を決定づける麹づくりは、五感を駆使し、勘と感性で見届ける。
酒造りの基本は古くから
「一、麹 二、酒母 三、造り(もろみ)」と言われいます。
この言葉の一番はじめに「麹」がくるように、
麹づくりは酒造りにおいて、非常に重要な作業です。
高温多湿の麹室の中で、上半身裸の男たちが、
一粒一粒の米に麹菌を繁殖させるため、根気強く丁寧に
米を揉みほぐします。
麹菌が繁殖しはじめると、米は熱を帯びます。
その様子をうかがいながら麹室内の温度と湿度を調整します。
麹づくりには、計算式や方程式があるわけではありません。
頼りになるのは、蔵人たちの勘と感性です。
麹面と呼ぶように、麹には表情があります。
その面構えをじっと見つめ、香りを香りを確かめながら、
仲仕事や仕舞仕事、出麹の時を決定します。
確認するというよりも、感じるといったほうが、
ニュアンスは近いかも知れません。
蔵人は自らの五感を駆使して麹づくりをおこないます。
このように、酒の味を決定づけるといっても過言ではない
麹づくりは、蔵人の”感じようとする力”と”感じようとする愛情”が
鍵を握っています。
手にしたかい棒に願いを込めて、物言わぬ生き物との対話が始まる。
麹づくりを経て酒母づくりへ。力強い活き活きした酵母を
育てるため、弊蔵では自然界の力を借りた山廃
(山卸し廃止)仕込という手法を用いています。
酵母の性質は育て方で決まります。整いすぎた環境では
素直な酵母はできても力強さに欠けます。自然界の多くの
洗礼を受けてはじめて酵母に本来の力がみなぎります。
かい棒をふるい、重い暖気樽を操る蔵人は思いを馳せます。
物言わぬ微生物との対話の中で、たくましさとふくよかさを
備えた酒の姿を思い描くこと約一ヶ月、
ようやく“酒の母”となります。
蔵人の愛情に応えるかのように、やがて魂をやどしてゆく。
育ちゆく醪野の息づかいは、やがてはっきりと
蔵人の耳に届きはじめます。
醪の温度は機械的に調整するのではありません。
醪の声を聞き、醪の状貌を見つめるのです。
時には暖め、時には冷やし、常に気を配り続けます。
その間約一ヶ月。蔵人たちは根気強く、きびしい視線と
穏やかなまなざしで精一杯の愛情を注ぎます。
そして、蔵人の誠意と愛情を受けとめ、それに応えるかの様に、
醪は魂を宿しながら、酒へと姿を変えてゆきます。
蔵人に育まれた醪は、待ちわびた開花の瞬間を迎える。
酒を搾ることにより、醪は酒と酒粕に分かれます。
最高酒に用いられる袋吊りは、力を加えず、醪自身の重みに
まかせゆっくりと“選ばれし酒”を搾り出す手法です。
数ヶ月にわたって精米から仕込み、そして発酵の長い道のりを
たどってきた酒米は、こうして一滴ずつ酒に生まれ変わります。
この酒が生まれる瞬間、蔵人の胸には様々な思いが去来します。
その思いを押さえつつ、蔵人は淡々と仕事を続けます。
しかし一滴、一滴、酒の生まれる音色が静寂の蔵の中に
かすかに響き渡る時、蔵人は直立不動のまま、
飽くことなくその酒を愛で、胸を熱くします。
神が創り賜う”時間の力”が眠った酒にまろみと香りを添えてゆく。
どれだけ科学や文明の利器を駆使しても、自然の力と
時間の流れだけには勝てないという自明の理は、
酒造りにおいても同じです。持てる力のすべてを
出し尽くした蔵人は、最後に自然と時間の流れに酒を委ねます。
天狗舞といえば山廃純米酒。この代名詞的な謂れは、
純米酒と山廃造りにこだわる私たちにとって望外のしあわせです。
近年、多くの人が純米酒を愛飲するようになりましたが、
天狗舞はかねてより純米酒を信じて造りつづけてきました。
もともと日本酒は純米酒でした。
天狗舞は“米の旨味を飲んでいただきたい”との信条に
のっとり純米酒にこだわっています。
山廃とは酒母の製造方法のひとつで、古来の酒母造りの
流れをくむ方法です。
仕込みのときに、雑菌による汚染を防ぐための
既製の乳酸を添加せず、自然界の乳酸菌を巧みに取り込み、
低温でじっくりと乳酸発酵させます。
こうして自然の姿で育てた酒母には、頑強で活き活きした
酵母だけが生き残ります。
最近は、ほとんどの会社が速醸酒母
(乳酸を添加し、短期間で酒母を育成する製造法)を採用するため、
山廃を知る職人がめっきり少なくなりました。
そのなかで天狗舞が山廃にこだわりつづけるのは、
酒本来の旨味は山廃でこそ醸せると信じているからです。
きめ細やかでふくらみのある酒を造るための
手間暇は惜しみません。
私たちはこれからも、天狗舞の思う
“本物の酒”を造りつづけてゆきます。
良質な米と水を用い、丁寧に醸した酒をじっくりと
熟成させたときに、酒は琥珀色を帯びます。
「色があるのは酒の品質が劣化しているからですか」
天狗舞の酒を初めてお飲みになったお客様から、
しばしばこのような言葉をいただきます。
酒の劣化によっても確かに色はつきます。
しかし、私どもはこう答えます。
「色があるのが自然なのです」と。天狗舞は色も本来の品質の
要件と考えます。多量の活性炭を使って濾過を行えば、
酒の色は簡単にとれます。
しかしこの手法を用いると、色といっしょに香りや
旨味までもとれてしまいます。香りと旨味をできるだけ
削がずに、お客様に旨い酒を飲んでいただきたいと
私たちは考えます。
ゆえに活性炭は、熟成によって生じたわずかな苦みを
少なくし、味を整えるためだけにごく微量しか使いません。
酒のありのままの個性、すなわち米そのものの旨味を
大切にしたいのです。
酒の色には魂が宿っている、という言い方もできます。
丁寧に丹念に醸した酒だからこそ、酒は色づいたままの
姿でお飲みいただけるのです。
酒の色の濃さは、蔵人の愛情の深さ、旨味の指標であることを、
天狗舞を通じて多くの人にご理解いただければ幸いです。
次代への継承:天狗舞を飲んではじめて酒の旨味がわかった」
どんな賞よりも、お客様のその一言が至上の喜びです。
それぞれの蔵には追い求めるものがあります。それは蔵に
とってどうしても捨てられない根幹をなすものです。
天狗舞が追い求めるものは“飲んで旨い酒を、熟練の蔵人が醸す、
本物の酒造りの伝承”ということです。
しかし、現在、熟練した蔵人の数は少なくなっています。
過去から現在へと継いできた技を、そして酒造りの喜びを、
私たちは次代へ継承してゆきたいと思います。
天狗舞は加賀の自然と人が造るのですから。
杜氏は若手に技を伝授します。
しかし、ただ単に教わるだけでなく、技を盗み、守り、
壊し、新しい伝統を創ってほしいと願っています。
酒造りは奥が深く、蔵人たちは数年がかりで酒造りの
入口に立ち、また幾年もの歳月をかけて酒造りを
理解してゆかねばなりません。
社員である前に“職人”でなければ、
技を継ぐことはできません。
私たちは、人が自然とともに酒を醸す蔵です。
それを忘れずに連綿と酒造りを続けてゆきたいと思います。
酒造りの喜びを追い求めて・・・・・・・。
吟醸酒
純米大吟醸50
天狗舞の味わいの中では熟成の程度を抑えた
比較的軽やかなタイプの
新しい味わいの提案です。
軽快な旨みときれいな酸味が心地よいのど越しを感じさせます。
おだやかな自然な香りですのでお料理とともに
お楽しみいただけます。
・精米歩合/50%(全量自家精米)

金沢酵母仕込大吟醸
金沢酵母は、北陸の地で伝えられてきた独自の酵母です。
金沢酵母を用いた吟醸酒は気品ある香りと
きめ細やかな味わいが特徴で、
食中酒としてもおすすめできます。<数量限定商品>
精米歩合/40%(全量自家精米)
山廃純米大吟醸
米の旨味を充分に引き出す、天狗舞独自の山廃酒母造り
で醸された純米大吟醸酒です。
山廃仕込みによる、芳醇でさばけのよい
「美しき旨し酒」の風味をご堪能ください。
食中の吟醸酒としても最適です。熟成によるお酒の色
は目も楽しませてくれます。
精米歩合/45%(全量自家精米)
吟醸仕込純米酒1823
創業年である文政六年(1823年)を冠した
吟醸仕込みの純米酒です。
ほのかな熟成香と良質な米の旨味は大地の恵みを感じさせます。
お酒の色は目も楽しませてくれます。
精米歩合/55%(全量自家精米)
純米酒 柔(やわら)
その名のとおり柔らかい風味が特長の純米酒です。
米の旨みを活かした、あとくちのすっきりとした
味わいがお料理をいっそう引き立てます。
お酒の色は目も楽しませてくれます。
精米歩合/60%(全量自家精米)
純米酒 旨醇(うまじゅん)
辛さと旨さのバランスのとれた、食中酒として最適な純米酒です。 豊かな旨味と酸味がお料理をさらに引き立てます。 お酒の色は目も楽しませてくれます。・精米歩合/60%(全量自家精米)
(天狗舞の情報は、HPの情報を参照させていただいております。)
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