24話:新人時代、個性的な先生1-1
病院、先生の思い出を書く事にしたい。
まずは石川病院の吉田院長です。
彼は十年以上の船医の経験があり、当直の日に、訪問すると、
いろんなエピソードを話してくれた。
東南アジアのある航海の時に、海賊風の反政府勢力の小船に、
追いかけられて、ついに、海賊が船に上がってきたのである。
彼が、ピストルを持っていたので、吉田先生は、驚いてしまった。
海賊の首領と思われる男が英語で女はいないかと迫ってきたようです。
しかし、この船には女はいないと言うと、次に酒はないかと
言われ洋酒を数本、渡した。
金、銀、宝石も要求してきたが、もってる紙幣と、腕時計を渡した。
海賊の頭領は、なんだ、これっぽちしかないのかと怒っていた。
最後に、お前は、何をやっているか聞かれ、医者だと言うと、
意外にも血止めと下痢止め解熱薬、頭痛薬を要求され、渡した。
そして商売がら使用量と使用上の注意などを丁寧に、教えたそうである。
すると熱心に説明するので、感心したのか海賊の首領の男が
ありがとう助かるよ、と返答してきたとの事であった。
さすがに、これには、吉田先生も驚いたと話してくれた。
その後、この船が大型タンカーということもあり、
直ぐ降りて行ったそうだ。(乗客がいない為)
実際には料理・洗濯・炊事をする為に二人の中年の女性がいたのだが
倉庫に閉じ込め、見られない様にしていたため助かった。
その他、台風に遭遇して、九死に一生をえた話なども聞かせてくれた。
北島は、先生の宿直の日、そんな話を楽しみに、訪問するのであった。
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