22話:企業の3ヶ月研修3
長距離走では、私は、毎回2番目であったが、
定期テストは真ん中程度であった。
テストが一番良かったのは、江田君で、何といっても
記憶力が抜群である。
どんなものでも2回見れば、ほとんど全て覚えられるという
記憶力の持ち主であった。
研修中に1回、検診があり、診療所で、検診を受け、
その際に、長距離の強い、板東君が、腎臓に異常がある
という結果が出たのであった。
もう少し悪くなれば、腎炎になるとの診断であった。
そこで、翌日から、薬を服用するようになったのである。
1週間後、板東君は、体調を回復しすっかり元気なって、
長距離走でも、毎日、1位でフィニッシュするようになった。
研修も2ヶ月半を過ぎてきた頃、あまり成績の良くない、
藤井君が、講師の先生に、呼ばれて、あまり成績が悪いと、
営業活動ができないと、強く怒られた様で、随分しょげていた。
いよいよ最終週の試験となった。最終回は、今までの全範囲から、
出題され、50点以下は、再研修となり、落第のである。
記憶力の良い天野君は、83点、板東君は63点、私は67点、
中外君は68点で、何とか、合格で研修を終えることができた。
問題の藤井君は42点で不合格、となったのである。
そして、研修の最後の日、総務部長が来られて、訓示を述べていた。
研修を終えても、まだ、医学、薬学の勉強は、道半ばであり、今後、
配属された営業所でも、しっかりと勉学、励むようにとの事であった。
藤井君は、その後、総務部長と、30分以上面接をしていたが、
意外にさっぱりとして顔で、俺、会社辞めるよと、言い出したのである。
同期の仲間で、引き留めようとしたが、会社に迷惑かけたくないと
理由で、退社したのであった。
全員で研修を終えたかったが、カンニング事件の江田くんと、
合格点に満たなかった藤井君が、脱落していった。
最終的には、天野君、板東君、中外君と私の4人が、
営業マンとして、配属される事となった。
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