27話:新人時代、個性的な先生2-2
その時に、突然、田臥先生が、男の溺死と、女の溺死は、どう違うと
思うかと、北島に聞いてきたのである。
もちろん、見たこともない事なので、わからないと答えると、田臥先生が
男性は顔を下にし、女性は、顔を上にしている場合が多いと教えてくれた。
昔は、人命は、軽視されていたね。
とにかく期日までに、大型船を完成し、進水する事が、
第一であったとの事であった。
今は、労働衛生管理、安全第一と、非常にいい時代だと、
感慨深めに話していた。
そして、私が田臥先生の海軍での話を聞くと参謀本部にいたと言い、
あの時代は、おかしな時代だったというだけで、その話は、
したくなさそうなので、それ以上、話す事をやめたのであった。
接待を終えて田臥先生を、お送りするタクシーの中で先生が、
田臥先生は、北島みたいな素直な若者は好きだ。
だから言うのだか、身だしなみには気をつけろ、営業でも相手と
駆け引きなんだ、そこで見くびるれる様なだらしない恰好はするな。
もし見くびられたらその時点で北島君の負けだ。
次に、確実にわかる事以外は、常にわかりませんと言えと教えてくれた。
知ったかぶり程、みっともない事はないから絶対にするなと言った。
最後に、新人であろうがベテランであろうが、競争相手に、
絶対負けない気持ちでぶつかれ、弱気になった時は、ほぼ負けが
決まってると言ってくれた。
多分、長年の人生経験で、身につけた話なのか、本当に説得力があり、
終生このアドバイスは忘れないであろう。
本当に、良い先生に、巡り会えて、幸せだと感じる北島であった。
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