28話:新人時代、個性的な先生3
その他に、印象に残っている先生は、親切病院の木内先生でした。
耳鼻科の先生で無愛想でしたが、的確な診断で、患者さんから、
絶大の支持を受けていました。
この先生は、手短に、端的に、話さない人は、大嫌いで、
そう言う営業マンの事を、時間泥棒と言い。
もういい、出て行けというのであった。仲間内では、有名な、
やっかない先生であった。
しかし何故か、私とうまがあい、雑談をしてくれた。
ある日、診察後外来で、面会すると、私が、我が社の薬の良い点を
文献を使い、端的に説明した。
木内先生は、わかった、文献は,気が向いたら読むかもしれないから、
そこに置いておけと言った。
先生の控え室には、本格的な、ネルの布を使ったコーヒードリップ装置
があり、いつも、本格的な旨い珈琲を飲ませてくれたのであった。
珈琲好きの北島としては先生と面会した時の、至福の珈琲タイムが、
いまだに忘れないのである。
北島が、珈琲通と言う事を先生も知っていて、北島の飲んだときの
コメント聞くのが好きだったのではないかと思うのであった。
その日は、いつになく、先生は、上機嫌で、珈琲と、そのお菓子を
食べていけというのであった。お言葉に甘えて、旨い珈琲と,
お菓子を、ゆっくりといただいた。
その時である、カーテン越しに、先生が、裸で、タオルを腰に巻いて、
私の前に、突然、現れたのである。びっくりして先生どうしたんですか、
とたずねると、風呂に入っていたと言うではないか、
きょとんとしていると、患者を診た後に、必ず,
風呂に入る事にしていると言うのである。
その風呂は、洋画に出てくる、陶器の足つきの白い、バスであった。
外来を終えた後、菌や、ウイルスを洗い流すために、
風呂に入ったのが習慣化して、毎日、外来の隅の小部屋を
バスルームにして入浴する様になったそうである。
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