74話:レ線写真をコンピュターに取り込む実験3
もう一つ解像度が欲しいと言うのだ。
骨折している所は完全にわかる、しかし折れた程度が
今一つ分かり難いと言っていた。
この結果に、この会社の担当者は七十点なら、もう少し改善できれば
使えると理解して良いのですねと言った。
教授に伝えると全くその通りだと答えた。
もう一歩といったところだねとの答えに彼は満足した様であった。
教授から、ところで、この装置、全体でいくらするのかとの質問が
出て担当者から、この装置は市販品でないので値段はつけられませんが
一億円以上はするでしょうねと言っていた。
教授が高いな、もっと安くしてよと言った。
またデモ用に一台置いて欲しいと言い始めた。
会社に帰って相談するという事になったが後日の連絡で、
この機械は試作機で企業秘密が詰まっているので置いておけない
との連絡が入った。
その会場に関係者以外の男が数人いたのを不気味に思った。
多分、日本の大手メーカーであろう事は想像できた。
その後アップルから正式回答で当社では、そういう目的でマックを
開発したのではないので積極的に協力できないという返事だった。
つまりマックとしては大きなメモリーを買って試してみるのは
自由なので自分でやって欲しいという事だ。
二年半後、マック・クアドラで白黒のレントゲン写真を取り込み
データベース化できる様になった。
価格はソフト込、一台五百万円と以前より随分安くなった。
この医局では、このセットを一台購入し設置して医局員が
自由に使える様にした。
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