77話:松本での家を買う1
北島の奥さんの友人の建設会社の社長夫人が北島家を訪ねてきて松本市
南部の郊外に豪華で格安の物件があるから見に行こうと言ってきた。
大学病院から車で三十分の閑静な住宅街、建築して二年目の物件で
土地が百四十坪、建物が五十坪で三台分の駐車場付き最寄り駅まで車で
五分、徒歩十五分。週末に行った。
まず豪華で吹き抜けの玄関にシャンデリア、六LDKで、お風呂は
大型浴槽。ガラス戸は全部二重サッシ、一階は、大型窓が二カ所、
リビング・ダイニングは南向きで広々、十六畳リビングとと八畳の和室、
大きなウオークイン・クローゼット、作り付けの大型靴箱、
大型の押し入れと十分収納施設も備えている。
二階は南向きの洋室が四つ。総額六千万円の提示だった。数回の値下げ
交渉で五千万円で良いと言ってくれた。実は後でわかった事だが、
建主の会社社長が不当たりをくって、買えなり、その後、地元の相場に
比べ高過ぎるので一年以上買い手がつかなかった様だ。
北島は最終的に四千六百万円を提示した。
担当者が会社に持ち帰って建設会社社長と相談して許可が下りたら
連絡すると言った。
翌日、担当者から了解の電話が入ったのだ。
今度は銀行で頭金と支払いの話になり急に雲行きが怪しくなった。
勤務先、年齢、役職と年収など具体的な話となった。その時まず会社の
事を聞いてきた。上場してない事を話すとそうですかと
暗い返事がかえってきた。
あなたの、ご出身はと聞かれ横浜ですと答えると県外ですか・・
では頭金は半分以上お持ちですか? 質問、攻めにあった。
頭金は一千万円位では、どうですかと北島が言うと、笑いながら、
そりゃー無理だと。
県外の人に、そんな大金を融資してくれる銀行はないよと言った。
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