6話:農協との交渉(201910-202001)

今年は秋に向けての道の駅の重点販売についての話し合いが店長、副店長と海津夫婦と役場の山田さんが集まって月曜の昼から役場会議室で行われるので参加してくれる様に連絡が入った。実は先月から海津さんと奥さんの給料が、売上の増加に貢献したのであわせて、月・20万円の給料になった。当日、会議室に行くと、もう一人農協の宮田部長が来ていた。季節の農産物を売りたいのでその情報をもってきたらしい。会議が始まり役場の山田さんが今日の議題を話した秋の果物の話が中心で果物、梨、リンゴ、柿、葡萄、イチゴの出荷時期と販売方法と派生商品のジュース、ソフトクリームなどを道の駅と打ち合わせた。 


   その他、新米の販売方法で、おにぎり、焼きおにぎり、パッケージした炊いた米。炊いた米の冷凍食品、販売パックの大きさ(2kg、5kg、30kg)。あらかじめ農協では資料を作成して出荷時期が書いてあった。
 議長の山田さんから海津に意見を求められた。そこで、海津が道の駅の売上の増加はうれしい限りですが、スタッフの増加や販売するための備品購入など出費も増えているので単に売上促進ばかりに目を向け売上金額増加だけでなく店員数、アルバイトの増員、備品購入費用の分担なども考えるべきだと発言した。続けて、農協さんの要請で販売促進するなら農協の職員の販売員も置いて欲しいし、ジュース、ソフトクリームの機械の購入も折半するべきだと話した。それに対して農協の宮田さんは農協では人員は出すだけの余裕はないと言ってきた。それでは農協会員のアルバイト募集でも良いから出して欲しいと海津は言った。そんな前例はないし第一、秋の収穫期は猫の手も借りたいほど忙しいので現実的には無理だと言ってきた。それならジュース、ソフトクリームの売上が増えて機械を追加購入する時に費用を出してもらえませんかと海津が言うと、農協では前例がないので農協の稟議が降りなければ出来ないと言った。海津が政府の答弁を聞いてるようですねと嫌みを言うと参加者から笑い声が聞こえた。


 海津は、続けて全額費用負担してもらいたいのが本音ですが、購入でもリースでも折半でと言った。もちろん、その時には果物の農協さんから道の駅への卸価格も再交渉になるでしょうと伝えた。すると農協の宮田さんが道の駅は、もともと農協の出店みたいにして始まった施設であり独立した施設とは考えていないというのだ。それに対して海津は、その考え方は古いし現在の月間の売上高は大きく、農協の出荷額のかなりの比率を占めてる。道の駅が農協の出店とか所有物とか言う古い考え方は変えてもらわないと困りますと言った。この発言に対して、農協の宮田さんが海津に向かって、あなたは確かに優れた営業センスをもって道の駅の売上増加に協力してくれたが、もっと農協の考え方とすりあわせてもらわないと困ると言い出した。

 思わず議長の山田さんが、この会議は道の駅を発展させるための会議で、道の駅は、既に月間500万円近い売上を上げてる地元活性化のシンボルなんです。ですから小さな事にこだわらずに地域活性化を目標に討議して下さいと言った。続けて、海津は農協さんと道の駅で備品費用は折半しましょう。また果物の仕入価格は販売個数によって決めましょうと言った。

 それに道の駅に商品を供給する方法や時間など商品を切らさない運送システムを考えていくべきだと話した。農協では以前からの方法で道の駅から、必要数量を前日に電話連絡してもらい、当日の朝8時にトラックで持って行く方式で、今後も対応すると言った。海津が、もし予想以上に売れて商品が足りなそうになったらどうしたら良いんですかと農協の宮田さんに質問した。笑いながら、そうなればうれしいねと言いながら、その時は、すぐに農協会員に言って運ばせるから大丈夫だと言った。海津が道の駅で一番困るのは欠品です。それを良く理解しておいて下さいと釘を刺した。

 議長の山田さんが追加で販売用の備品が必要になった時は農協と道の駅で費用半々で折半する事で良いですねと言った。宮田さんが待って下さい一存では決められないから農協に持ち帰って話し合い、また山田さんに折り返し連絡しますと言った。今週中に連絡下さいと山田さんが言い宮田さんはしぶしぶ了解した。これで会議は終了した。

 役場の山田さんが農協と道の駅の会議は重要だから最低月に一回、何か問題が起きた時は、随時会議を開きましょうと言い閉会した。終了後、海津の奥さんは一人で家に帰り、農協の山田さんと海津は、お茶を飲みながら話した。山田さんが海津に貴重な意見を言ってくれてありがとうと言った。

 山田さんが農協がいつも高圧的で困っていたんですが備品購入の費用の折半なんて今までなかったし、農協さんも驚いた様ですと言い、いまだに農協が道の駅を農協の出先機関の様に考え、支配していこうとしている事もわかり良かったと言った。また、海津さんの理詰めの発言に、農協側がたじたじで面白かったと言うと、海津は、道の駅の発展のために全面協力することを約束した。

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