第40話:新潟での歓迎会2
二次会は、山田所長の行きつけのスナックあゆみ。
夜十時を過ぎ人通りも少ない裏通りに新潟には似つかわしくない
派手な店構えで一目でわかる店だった。
ママの名はかずみ。この界隈では、ちょっと有名なママ。
あら所長、前に言ってた、できる若手の方って、この方ですか
良い男ね、営業さんは、もてなきゃね。
第一次審査合格とはしゃいでいた。
この夜は、かなり酔いが回って饒舌なママだった。
ママから歌ってと言われると、すぐ北島はマイクを取り、
お得意のスタンバイミーを歌った。
山田所長とママは曲に合わせて踊り出していた。
その有様はママがリードして酔った山田所長が彼女に抱きついて
踊っていると言った方が良いかもしれない。
曲が終わると今度は、お返しとばかりにママが踊りやすい、
コーヒールンバを歌った。北島が座ろうとした時アシスタント・
ママのヒトミが、さっと北島の手を取って一緒に踊り出した。
二人のステップの上手さにスナックの店内が、しーんとなった。
会社の女子は、びっくりした様な目つきで眺めていた。
そして十二時頃に終了した。
帰り際に北島の手相を見たママが山田所長に北島には女難の相
があるから気をつけた方が良いとそっと、ささやいた。
当時の日本中はバブル景気のまっ最中。
当社も転勤手当が月給の三ヶ月分支給され引越費用は会社持ちで
更に転勤先の家賃補助も平社員でも六万円支給、北国には地区に
より十月から三月の半年間、五~十万円/月の暖房手当が出た。
加えて給与と年一回、十二月の通常のボーナス。
特に業績が良く会社の利益目標を超えた年は超過金額を全国の
営業所の実績配分し支給するという特別ボーナスが九月支給される
と言う恵まれた環境の時代だった。
単身赴任にもかかわらず、北島は毎日のりのきいたシャツで
颯爽と出張、営業活動を続けていくのだった。
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