25話:新人時代、個性的な先生1-2

 数日後、吉田先生の外来後、面会しようと外来で待っていた。

 この当時は、生活保護の患者さんや日雇い人夫の患者も多く、
外来待合室中、衛生的でない体臭が、充満して臭かったのだった。
少し待っていると、温厚な吉田先生が診察室で大声でどなっている声が
聞こえたである。
 耳を澄まして聴いていると、患者が足が痛いから、内服鎮痛剤と
軟膏とシップを一ケ月分くれと言っていた。

 それに対して先生は、お前そんなに、薬をどうするんだと詰問していた。
 患者が使うですよと返答すると、嘘つけ、生活保護で医療費無料なのを
良い事に、処方した薬を、帰りの橋の先で業者に売るんだろうと言った。
 そんな事しねーよと返答していた。
 吉田先生が駄目だ、前回処方した薬があるはずだから、
今日は出さないと強く言った。
 患者が、ちぇ今夜の酒代にしようとも思ったのに、今日は、
ついてねーぜと言ったのである。
 馬鹿もん、お前の様な奴がいるから、世の中が悪くなっていくんだと
大声で患者にどなっていた。

 外来を終えて、面会すると吉田先生は疲れた様だった。
 そこで、先生大変ですね。また、宜しくというだけで、
短時間の面会で失礼した。

 帰り際、橋の向こうで、業者が、薬を買い取ると、言っていたので、
長い時間、離れた所から見ていた。
 すると生活保護の患者と見ると、急に見えにくい所から、男が
姿をあらわし、薬の袋を見て、電卓片手に、買い取ってるではないか。
 これは完全に、法律違反である。

 しかし、こういう事が、闇で行われているのをみて、
愕然とする北島であった。
 

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