第41話:仲の良かった先生との再会
新潟赴任の一ヶ月後、毎年四月の中旬に、北島の担当のU病院では
人事異動となる。
今年も若手の先生が二人交代になるとの情報だった。
いつもの様に病院の医局で10分待つと二人の新任のドクターが
同時に入ってきた。
下田先生と山井先生ではないか顔見知りの先生達だった。
お互いに顔を見合わせた。
転勤で、この地域を担当しますと言うと世間って確かに狭いね、
こんな所で会うなんてと下田先生が話してきた。
もう一人の山井先生が何か問題起こして左遷されたんじゃない
のと笑っていた。
二人とも独身で病院近くのアパートに住んでいた。
面白い情報を持ってきてよと言われたのでかしこまりましたと、
おどけて答えた。
先生方が医局で昼食、休憩後、仕事に戻る所で、また宜しくというと
大丈夫心配するな協力するよと好反応だった。
数日後、下田先生が今晩、旨い所で夕食をとりたいなと言ってきた。
そこで、ここでは珍しいイタリアン・レストランを手配した。
下田先生が今晩は飲んで楽しみたいから、車は病院の駐車場において
タクシーで行こうと言ってくれた。
その後、薬局の春子さんと下田先生が出てきて三人でタクシーに
乗り込んだ。
薬局の春子さんとは、たまに挨拶する程度で顔を知ってる位だった。
大皿料理と赤、白ワイン、プロシュートとサラダ、ピザを注文した。
飲みながら話がはずみ下田先生が春子さんに北島君は遊び人の
営業マンだから気をつけろよと言った。
北島は仕事と遊びは厳格に分けてますからと答えると。
彼女は強調すればするほど嘘っぽいわねと笑った。
下田先生は付け加えて北島君は結婚して子供いるんだよと
言ったのだった。
北島は笑いながら、個人情報ですから口外しないで下さいと、
にらんだ。
こんな感じで楽しい時間が過ぎていった。
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