55話:長岡での大送別会3
そこで栄子さんに今、興味持っている歌手や歌を聴くと
特に声のきれいな人が好きだと言っていた。
最近はオリビア・ニュートンジョンが好きたと言ったので
何か歌ってというとカントリーロードを歌ってくれた。
これも非常に感動的な歌い方で上手だった。
北島はお返しにサイモンとガーファンクルの
「コンドルは飛んでいく」を歌った。
彼女は「そよ風の誘惑」で返してきた。
そこで、また「ボクサー」で対抗した。
佐藤君はというと、かなり酔った様で水を飲んでいた。
店の中は、依然、大盛り上がりで拍手の嵐だった。
歌ってる者にとっては答えられない雰囲気だった。
会場から、またアバを歌ってとのリクエストが飛び出した。
そこで彼女たちが選んだのは「マンマ・ミーア」だった。
周りのお客さんも、この歌に合わせて踊りだした。
彼女たちは踊りながら歌ったので更に盛り上がった。
その後遅くなったので帰ろうという事になり会計を
お願いするとマスターが、いえ結構ですと言った。
マスターが、あの窓際の女性が、みんなの分は、彼女につけて
おく様に言ったんですよと言うのだ。
そこで窓際の女性の方へ行き、お礼を言うと彼女は、
こんな楽しい夜は久しぶりと喜んでいた。
少しお話を聞いてみると長岡の中心街で数十年も商売をしていたが
少し前に旦那さんに先立たれ、やる気が失せて店を閉めたそうだ。
旦那さんの残してくれてた蓄えで今は
悠々自適に過ごしていると言った。
たまに、この店に来て若い人に元気をもらって長生きしてる
のよと笑っていた。
だから彼女こそ、あなた方に楽しい時間をありがとうと、
お礼を言いたい位だわといった。
なんと素敵な言葉だろう。久しぶりに熱いものがこみ上げてた。
北島は涙を見られない様に、その場を去った。
席に戻り事の顛末を全てみんなに話した。
全員で窓際の女性に、お礼を言い失礼した。
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