57話:長岡でのアバンチュール2




  ごめんと言うと名刺をちょうだいと言われ名刺を渡すと彼女が
そこにあった紙ナプキンに彼女の連絡先を書いて渡してくれた。
 彼女が転勤後の移動先を連絡してよと強い口調で言ったので、
わかったと答えた。

 また栄子が旅行で長野へ行くかもしれないからねと
含み笑いを浮かべて話した。

 食べ終わって早苗が眠くなったので、お先に失礼しますと言うので
送ろうとすると大丈夫、近いから自分で帰れると言った。
 その後、栄子は学校時代の話、歌の話、雪国の生活の話など堰を
切った様に話し始めた。

 そこで北島がビールを出してきて、また飲みはじめた。
 彼女は笑わないで聞いてよね、実は小さい頃いつか白馬の王子様が
目の前に現れて彼女を救ってくれる話が好きで何度も繰り返し
その本を読んだんだと懐かしそうに話してくれた。

 その後うまいウイスキーあるから飲もうと言い氷を冷蔵庫から出し
水割りにして飲み始めた。

 そして一時を過ぎた頃、彼女が酔っ払ってきて今晩は、
このまま帰りたくないと言うのでホテルの部屋で
長岡の最後の夜を惜しむ様に情熱的な夜を過ごした。
 まだ二十代の娘は初めてだったが肌のはりきめの細かさが全く違った。

 それが余計に、その気にさせるのだった。冬の雪国の寂しい夜は
男も女も、ぬくもりが恋しいと言う気持ちはわかる。
 ましてや自分が好きだと思った人ならこうなるのも
良く理解できる気がした。
 早朝、彼女はスッキリした感じで、ありがとうと言って颯爽と
立ち去っていった。

 その翌週、新潟営業所の送別会の時が来て仲間と別れる事なった。 
 これがサラリーマンの宿命だと強く感じる北島だった。

 特にスナックあゆみのママが、別れ際に、北島に言った、
あんたは「女に気をつけろ」の言葉が胸に突き刺さった。

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