107話:松本の友人達とのわかれ2

 北島は今日は疲れたから帰りますと、あっさり言って数人、
残っていたが全員の勘定を済ませ下島さんのテーブルへ挨拶に行った。
 その時、下島さんが家が売れて本当に良かったねと言ってくれた。

 契約書には「この契約には、瑕疵条項はありません」と
記しておいたと言った。
 瑕疵条項をわかりやすく言うと売買が成立しても買い手保護のために
購入した後、予期せぬ欠点、欠陥が起きた場合、買い主が売り主に売買の
無効、支払金の返還要求や損害賠償を請求できると言う事。

 だから何があっても北島君は安心だと笑っていた。
 タクシーで、その晩まっすぐに自宅へ戻った。
 女房は起きていて瑕疵条項の話をすると、へー、そうだったの
不動産売買って怖いんですねと言い、びっくりしていた。

 金額が金額だから、いろいろ、あるんだよと言っておいた。
 すると女房が売り手に有利な契約書を書いてくれるなんて、
やり手の不動産屋で助かったわねと言った。

 その数日後、どこから聞いたのか長女の同級生のお母さんが家を
訪ねてきて、お宅のご主人、転勤なんですってねと言うなり、
ここの家はどうするつもりですかと借家にするんですか、また、お売りになるんですかと聞いてきた。
 よく聞くと何と彼女のご主人はSK不動産の営業部長だというのだ。
 私どもが、お手伝いしますから是非ご相談下さいと、
ご丁寧に挨拶してきた。 もう売れましたというと、え、嘘でしょう。
 そんなに簡単に売れるはずはないと吐き捨てるように言った。
 そこでPTA会長の時、知り合った不動産屋さんに、
うまくやってもらったんですと、にこやかに答えると急に顔が
曇りだして、やり手の人とは聞いてたけれど抜けめないんですねと
軽く睨んだような目で、こちらを見て、帰って行った。



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