109話:信州を去る日1



 

 九月となり転勤する日が近づいてきた。
 その週の週末に家族全員で多摩に行き借家を捜したが3DKのマンションまではあるが駅に近い戸建ては少なく、徒歩圏内では見つからなかった。
 駅から車で10分の所に築七年の4LDKの借家があり、そこに決めた。
  バスで15分、便数も多く駅まで行けばスーパーや多くの店がある
所だった。
 早速、不動屋さんで契約した。家賃は駐車場一台付きで月、15万円、
北島の役職では、月10万円まで、補助金が出るので、実質、月5万円の
持ち出しとなる。小中学校まで徒歩15分だった。
 


 数日後ついに信州とお別れする日がやってきた。松本駅から特急あずさで新宿に向かう電車の中、まず最初に目に飛び込んだは雪をかぶった
北アルプスの勇姿。

 思い起こせば、仕事で落ち込んでいる時、いつも心を奮い立たせてくれ
た。凜として神々しいまでの美しさは、また都会のビジネスの仕事場に向かう企業戦士を熱く送り出してくれるのには十分すぎるほどの迫力だった。



 10分位、過ぎると塩尻駅が見えた。ここから木曽路に曲がりくねった
国道19号線を2時間かけて県立木曽病院を訪問した。木曽の桧の臭いが
懐かしい。

 


塩尻峠を越えると岡谷、諏訪、右に諏訪湖の優美な姿が見えてくる。

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