113話:所長と先輩の喧嘩だ。1
田中所長は特に大学病院、大型病院の情報収集と、その情報の所員との共有化を要求していた。
いつもの様に挨拶回りから始まり数週間が過ぎた。
訪問しての印象としては都会は患者さんの数や先生の数、情報量は地方と段違いの多さで久しぶりに面食らった。
交通渋滞も、ひどく抜け道を捜すのにも、時間がかかった。
半年がたち収集した情報量が多く書き込んだ手帳が二冊目になった。
その情報を各担当者に伝えるのにも彼らの個性に合わせて説明するのに骨が折れた。
特に清水先輩は自分の固定観念が強いためか全く受け付けてくれなかった。わかった参考にしようと言うが話を聞いたから資料はいらないと全く聞き耳を持たないどころか余計な事、言うなといういわんばかりに見えた。
その後も清水先輩の実績は相変わらず低迷して理由は市場が閉鎖的であり頑張ってるが実績が出ないの一点張りだった。
他の所員は着実に実績を伸ばしてきた。
北島への風当たりも強くなってきた気がする。
その年も押し迫った十二月、ついに事件が起きた。
忘年会の席で清水先輩が田中所長に対して切れたのだ。
冗談じゃないよ、ここに来て十年以上になるのに所長は、
いつも文句ばっかで口を開けば実績が伸びてないとか
目標に届かないとか、やる気あるのかとか言うばかり。
もう、やってらんねーよ、やめてやるよと言ってきた。
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